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歯科と認知症について

こんにちは。世田谷区駒沢の歯医者、駒沢歯科・矯正歯科クリニックです。今日は歯科と認知症について説明いたします。

虫歯や歯周病ではあを失うと食物などをしっかり噛むことができず丸呑みしてしまうため消化器に負担がかかるようになりますか、それだけではなく物忘れや認知症のリスクも高くなると言われています。原因として考えられているのは奥歯で噛まないと脳への刺激が減る、奥歯がないと食べられるものの種類が限られ、脳の健康に必要な栄養素が十分に摂取できなくなることなどが考えられます。また奥歯を失う大きな原因にある歯周病自体が脳に悪影響を与えることもわかってきています。

奥歯でものをよく噛むことの重要性ですが、噛むことによって歯や歯の周りの筋肉が刺激されることにより、神経を通じて脳に伝わることで脳内の血流が良くなり脳細胞が活性化します。

特に重要なのは脳の中で記憶力を司る海馬と言う部分です。海馬はすべての情報を一時的に保存する場所ですが、認知症の人には海馬の萎縮が見られます。マウスを使った実験で噛み合わせが悪いと海馬の細胞が消失し記憶力が低下したと言う報告もあります。では噛むことがどれだけ脳の血流を増やすのでしょうか。人の場合、一回噛むことで約3.5ミリリットルの血液が脳に送り込まれると言われています。わずかな量のように思えますが、30回噛めば100ミリリットル以上の血液が送り込まれるのですからよく噛んで食べればそれだけ新鮮な血液が脳を巡ると言うわけです。

噛むことで脳に血液を送る仕組みの要となっているのは歯を支えている歯槽骨と歯根の間にある歯根膜です。

歯根膜はクッションのように働き噛むと0.03ミリメートルほど沈みこむのですが、その時に歯根膜の下にある血管に圧をかけ噛むたびにポンプの夜に血液を脳に送り込むのです。歯が少なくなるほどポンプの力が弱まり脳に送り込まれる血液の量も減っていきます。次に奥歯で噛みなくなると肉などの硬いものや繊維の多い野菜などが食べにくくなります。そのためタンパク質や各種ビタミンなど脳の健康に必要な栄養素が不足し、記憶力の低下えとつながっていきます。残っている歯の数と認知機能の関係を調べた研究では70歳以上の高齢者で脳が健康な人は平均14.9本でしたが、認知症の疑いありの人は平均9.4本だったと報告されています。

日本人の抜歯原因で最も多いものは歯周病です。歯周病菌自体がアルツハイマー型認知症の原因になることもわかっているので毎日の歯磨き等定期検診で奥歯を守ることが重要です。

認知症が進むとどうしても理解力が低下してしまいます。意思疎通も困難になってしまうため、治療を行うとしても拒否されたり口を開けてもらえないようなことが起こりがちです。さらにその間放置するとお口の中の細菌が繁殖し、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。誤嚥性肺炎になると入院することが多いですが、入院するたびに体力や認知機能が衰えてしまい要介護度が上がっていくという患者さんが多く見られます。誤嚥性肺炎の治療は安静と絶食が基本なので、入院前は何とか自力でトイレに行けていた人が退院してきたら寝たきりになっていたというのも珍しくありません。また認知症になるとそれまでにできていたことが少しずつできなくなってしまうので歯磨きやうがいも難しくなっていきます。歯ブラシを持たせると歯を磨くような動作はするもののよく見るときちんと磨けていないことがよくあります。気づいたときには虫歯だらけで歯周病も重症化し歯科治療が必要なのに嫌がってできないと言う状況になってしまうこともあります。認知症の人に対する歯科治療は認知症の進行状況によって変わってきます。初期は虫歯や歯周病の治療を、中期は入れ歯の調整が加わり後期になると場合によっては入れ歯を取り除くことも検討します。なので初期のうちに患者さんと歯科医師、衛生士の間で信頼関係を作っておくと治療も比較的スムーズに行え、継続的に診療することでご本人に合った治療やケアを提供することもできます。できれば認知症になる前にかかりつけ歯科医を持っておくと良いですがいない場合は認知症の人の診療に積極的で訪問診療も行っている歯科を地域包括支援センターや地域の歯科医師会に問い合わせるなどして探してみましょう。

近年認知症の人が徘徊して行方不明になる事例が増えその数は年間10,000人ほどと言われています。万が一行方不明になったときには歯科の治療気力が本人特定に役立つので危機管理の上でもかかりつけ歯科医を持つことは大切だと思います。高齢者の増加とともに認知症も増え2030年には約7,440,000人から8,300,000人になると予測されています。認知症と診断されたらすぐに近い回そしてその際はご家族も同行し今後のことをご本人の意思を尊重しながら決められるようになっていってほしいと思います。

認知症にはいくつかの種類がありますが、最も多いのはアルツハイマー型認知症で認知症全体の約7割を占めます。アルツハイマー型認知症の人の脳を調べると異常なタンパク質が関与していますがその代表的なものがアミロイドβです。アミロイドβなどの定着は長い時間をかけて進み認知症の発症や悪化を招きます。アミロイドβは体内で作られるタンパク質でその3008農園の運搬蓄積に歯周病やその毒素がかかっています。歯周原菌は歯と歯茎の境目の歯周ポケットに増殖し毒素を排出します。しかも、歯周ポケット内にとどまるのではなく歯茎の毛細血管から体内に侵入し血流に乗って体中に運ばれていくのです。歯周病原菌と言うその毒素は脳にも運ばれてアルツハイマー型認知症を引き起こす危険因子となります。九州大学などの研究チームがマウスを使って行った実験によると歯周病に感染したマウスの血管の表面にはアミロイドβを納入パンするタンパク質の数が正常なマンション約2倍、脳細胞のアミロイドβ蓄積量は約10倍にも増えており記憶力の低下も見られました。口腔内には約300種類の常在菌が存在しそのうち7割は善玉菌、残りの3割が歯周病現金や虫歯菌などの悪玉菌と言われていますが、口腔内が不潔な状態が続いたり、免疫力が低下したりすると悪玉菌の割合が増えて歯周病や虫歯が悪化しやすくなります。喫煙、糖尿病、妊娠や更年期も歯周病を悪化させる要因です。特にタバコは200から300種類もの有害物質を含み、免疫力を低下させて細菌感染による炎症を起こりやすくさせます。また、ニコチンには血管収縮作用、一酸化炭素には酸素を運ぶヘモグロビンの濃度低下作用があるため、歯周ポケット内が酸欠になり酸素を嫌う歯周病の細菌が大繁殖してしまうのです。

糖尿病は動脈硬化により血管を傷つけて歯周病現金やその毒素のダメージからの回復お邪魔します。女性の場合は女性ホルモンのバランスの変化が起こる思春期、妊娠中、更年期に歯周病にかかりやすくなります。更年期以降は唾液の分泌が減りドライマウスになる人が増えるためさらに注意が必要です。歯周病はアルツハイマー型認知症の他にも糖尿病や心疾患、がんなど深刻な病気を引き起こす反面進行するまで自覚症状が乏しいことからサイレントキラーと呼ばれます。毎日の歯磨きや歯科定期検診を習慣にして歯周病を予防する事は長い目で見ればアルツハイマー認知症を予防することにつながります。