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顎関節症について
こんにちは。世田谷区駒沢の歯医者、駒沢歯科・矯正歯科クリニックです。今日は顎関節症について説明いたします。
顎関節症とは顎関節や顎を動かす筋肉(咀嚼筋)の痛み、関節の音、開口障害、顎運動異常を主な症状とする慢性的な疾患です。
顎関節症にはタイプ別に分けられていて、顎関節症Ⅰ型、顎関節Ⅱ型、顎関節症Ⅲ型、顎関節症Ⅳ型、顎関節症V型にまで分けられています。
顎関節症の原因は様々あると言われています。顎関節症の一般に言われる原因は次の通りです。
顎関節症の原因
・歯ぎしり
・日々のストレス(精神的な緊張は筋肉を緊張させます)
・食いしばり(何かに熱中しているときに食いしばる癖がある、冷房が寒くて歯を食いしばる、緊張している最中食いしばるなど)
・唇やほっぺの内側を噛む癖がある
・頬杖、うつぶせ、猫背などの不良姿勢
・入れ歯や詰め物被せ物が噛み合わせに合っていない
・大きく口を開けたり硬いものを噛んだ(顎を酷使したなど)
・片方の歯が痛いので反対のはで食べ物を噛んだり、左右どちらか一方でばかり噛む癖がある。
・うつ病、睡眠障害、不安意思があるなど
このように顎関節症の原因と考えられている要因は多種にわたります。以前は噛み合わせの悪さが原因と考えられていましたが、仮にそうであるならば、歯科医療事情が整っていない発展途上国には顎関節症の患者が多数いるはずです。しかし顎関節症が多く報告されているのはむしろ先進国に多いと言う報告があります。今では顎関節症の原因として世界的に認められている考えは、多因子病因説であり、顎関節症の要因がいくつも混ざり合って発症するものと考えられています。
顎関節症の種類
・顎関節症1型(咀嚼筋障害)
例えると顎関節の筋肉痛タイプとなります。主な症状は口を開けたり閉めたりする筋肉の筋肉痛です。症状としては顎が重いだるい、開けづらいなどがあります。
※咀嚼筋とは顎を動かしている筋肉のことです。咀嚼筋は咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋などがあります。
・顎関節症II型(関節包・靭帯障害)
例えるとねんざタイプです。症状としては噛んだときあるいは大きく口を開けたときの関節の痛みがあります。耳の前の関節がある所を押すと圧痛もありたす。
・顎関節症III型(関節円板障害)
顎関節は上顎の骨と下顎の骨とその間に存在する関節円盤と言う柔らかい組織があります。顎関節症さん方はこの関節円盤の位置の異常により2つのタイプに分けられます。
顎関節症IIIa型
関節円板が顎を動かしたときに一瞬ずれることによりカクカクという音がなるのが特徴です。
顎関節症IIIb型
関節円盤の位置が常にずれている。口がかなり開けづらくなり口を開けた時に痛みが出てきます。この状態をロックされた状態といいます。
顎関節症Ⅳ型(変形性顎関節症)
顎関節の変形によるタイプです。顎関節に日ごろ繰り返し強い負荷がかけられたり、そういった状態が長期間にわたって続くと下顎の骨の関節の表面が吸収されてその周りに新しい骨が作られることがあります。口を開けたり閉めたりするとシャリシャリ、パチパチといった種類の音がします。さらに骨膜に炎症が起こり痛みも出てきます。
顎関節症V型(顎関節症のⅠ型からⅣ型に該当しないもの)
顎関節症の治療
①薬物療法
顎の痛みを薬で緩和します。また筋肉の緊張が強い場合にも薬を用います。服用している薬がある場合は歯科医師に伝えて下さい。
②理学療法
顎関節に電気を流したり、マッサージをしたりして顎の周りの筋肉の緊張をほぐします。筋肉をほぐすことで血流を改善し痛みを軽減します。
③運動療法(リハビリ療法)
ずれてしまった関節円盤を元に戻すような運動を日々行ったり、顎周りの筋肉を徐々に動かすこしたりストレッチをしたりして口を開けられる量を増やしていきます。
④スプリント療法
スプリント療法は患者様に合ったマウスピースを制作して使用していただく方法です。マウスピースを装着することにより顎関節を安静にし、顎関節の筋肉をリラックスさせます。昼間はマウスピースを装着する必要があまりないため日々の生活への影響はあまりありません。
⑤心身医学療法
顎関節症はストレスや食いしばりが原因とも言われています。ストレスや食いしばりを取り除くためにストレスフリーにさせる方法です。
顎関節症は再発するリスクが高い疾患です。すなわち治療によって症状を改善することができてもまた同じ症状が再発するケースが多いです。
顎関節症の原因に噛み締めや食いしばりがありますがこれはストレスが大きく関係しているといえます。ストレスをためるような生活を送っていては再発リスクを高めるといえます。楽関節症の治療は症状を改善するだけでなくその根本原因の改善が必要となってきます。
顎関節症のご自身でできる管理方法
顎関節症で顎関節や筋肉に痛みがある時はまず安静にすることが大事です。そして症状進行させないために大口を上げることや顎の使い過ぎに気をつけましょう。症状が出始めたら生活習慣の改善を図りましょう。
ここで、最近みつかった重要な寄与因子があります。それは日中に必要がないのに上下の歯を接触させてしまう癖です。この癖を歯列接触癖(tooth contacting habit(TCH))といい顎関節症の患者さんの8割近くの方達がこの癖を持っているというデータが報告されています。この癖があると顎関節症を引き起こしやすくなることが判明してきました。そしてこの癖を直すと大部分の患者さんの顎関節症の症状が改善することも明らかになりました。つまりこの癖が数ある要因の中で最大の原因になっていることがわかりました。そのためまず最初にこの癖(TCH)を治すべきと言うことになります。
このように顎関節症には要因や治療法は多岐に渡りますので、顎関節症の症状が出た場合は放置せずに歯医者に行き相談することをおすすめします。