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歯の沈着物の種類について

こんにちは。世田谷区、駒沢の駒沢大学付近にある歯医者、駒沢歯科・矯正歯科クリニックです。

今日は歯の沈着物の種類について説明します。

歯の表面にはいろいろな物質が沈着しています。それは細菌などの歯にとって有害なものだけではなく有益なものも中には存在します。

①ペリクル(獲得皮膜)

ペリクルとは歯の表面(エナメル質)に唾液が接すると、その直後に形成される唾液由来の糖タンパク質の皮膜です。厚さ約1から10マイクロメートルで、微生物を含まず吸着は強固で通常の歯磨きでは除去できません。

口腔内細菌の歯面への付着など歯垢の形成に関わりますが、再石灰化現象に重要な役割をはたすなど、歯に対する害はほとんどないと考えられます。

②デンタルプラーク(歯垢、歯苔、バイオフィルム)

ペリクル上に形成された暑さ3から200マイクロメートル程度の沈着物であり、細菌(約70%)と菌体間基質(約30%)からなっています。

細菌はデンタルプラークの質重量1ミリグラム当たり約2億から3億個存在し、菌体間基質は細菌が産生する多糖や唾液由来の糖タンパク質から構成されています。

デンタルプラークはバイオフィルム(細菌とのその細菌が産生する菌体外多糖によって形成される膜状構造物であり、台所の流しの排水溝周り、川底の石の表面などにも見られる細菌の塊です)の1種でありその中では細菌同士が様々なコミニケーションをとりながら自分たちの生殖と安定を確保するため共同生活を営んでいます。

虫歯(う蝕)や歯周病の主たる病原因子であるとともに、口臭や外見不良の原因ともなりますので家庭での歯ブラシやデンタルフロスなどの清掃用具を用いて除去することを心がけることが大切です。また定期的に歯医者で専門的に除去してもらうことも重要です。

③歯石

歯石はデンタルプラークが石灰化したもので主成分はリン酸カルシウム(約75%)で歯磨き除去できません。歯石は主として歯冠部に沈着する(直接観察することができる)歯肉縁上歯石と歯根部に付着する(直接観察することができない)歯肉縁下歯石に分かれます。歯肉縁上歯石は唾液由来で黄白色、層状構造であり、唾液腺の開口部に後発し、歯面への固着力は弱いです。

これに対して歯肉縁下歯石は歯肉溝浸出液や血液由来で黒褐色、無構造であり沈着部位は不特定で歯面に強く沈着しています。歯石自体には病原性はないとされていますが、沈着すると表面がザラザラするため歯面や歯肉溝内にデンタルプラークが付着しやすくなり歯周病を誘発します。一旦沈着すると歯ブラシでは除去できませんので、定期的に歯医者でとってもらうことが必要です。

④マテリアアルバ(白質)

歯垢が大量に付着している場合その外側を柔らかい沈着物で口腔内の清掃の悪い人にはよく見られます。食物残渣(食べかす)、剥離上皮、白血球、細菌、血液由来の糖タンパク質などからなっています。吸着力は弱く強いうがいによって容易に洗い流すことができます。害はあまり認められませんが場合によっては歯肉に炎症を誘発することがあります。

⑤色素性沈着物

歯の表面に色素が沈着するもので飲食(コーヒー、紅茶など)や喫煙に由来するもの、色素を産出する細菌によるもの、化学物質や金属によるものがあります。歯医者や歯茎には害はありませんが外見上問題が生じる場合があり、除去希望される場合は歯医者で機械的にとってもらう必要があります。