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介護における「歯ブラシ」や「ブラッシング」以外にもある口腔ケアの重要性
こんにちは。世田谷区駒沢の駒沢大学付近にある歯医者、駒沢歯科・矯正歯科クリニックです。今日は介護における「歯ブラシ」や「ブラッシング」以外にもある口腔ケアの重要性について説明します。
「口腔ケア」で誰しもが最初に思い浮かべるのは、「歯ブラシ」や「ブラッシング」についてだと思います。もちろん、歯ブラシやブラッシングは必要不可欠ではありますが、他にも重要な事はたくさんあります。
口腔内は唇が閉じていることにより、ある種一定の環境が保たれている状態です。唾液は絶えず口腔内を湿潤させ、舌と頬は食事中、会話中、あるいはそれ以外の場合もたくさんの機能を担っています。
こういった事はもともと口の中という器官が備えている生理的な自浄作用です。
病気や外傷で口の中に麻痺があると、この機能がうまく働かないため、生き生きとした口腔機能を維持することが難しくなってきます。
そこで介護を必要とする人の場合、麻痺した口腔器官に対して少しでも運動や感覚が健康な状態に続くような試みが必要になってきます。
これが歯ブラシやブラッシングではなく口腔ケアと呼ばれている理由です。
口腔ケアの目的は虫歯(う蝕)いや歯周病(歯槽膿漏)の予防だけでなく、
①正常な味覚を維持することにより食欲増進を促す
②生活のリズムを整える
③自ら体を治すと言うモチベーションを上げる。
また摂食、嚥下に問題のある人にとっては
④舌などの口腔内器官の機能回復を期待し、将来、口から食事をするための準備になる。
⑤誤嚥性肺炎の予防につながる
といったことが考えられます。
嚥下障害と口腔ケア
例えば脳卒中の後遺症で、手や足に麻痺が残ることがあります。
実は後遺症はそればかりでなく口や喉などの機能にも残ることがあります。
そうすると食事が思うようにできなくなったり(咀嚼不良)、あるいは飲み込むと食べ物が喉に溜まったままになってしまう(咽頭部貯留)、器官へ食べ物が入ってしまう(誤嚥)といったことが起こってしまいます。これが嚥下障害です。
嚥下障害があると、食事のメニューに制限が出てしまったり、中には口から食べることができなくなってしまいますので、チューブ(胃ろう)で直接胃に栄養を送ったりといった治療がなされます。
食べたり話したりといった機会が失われると口腔機能が不活発になり、機能が衰えることにより、自浄作用が働かなくなるので口腔内で細菌が繁殖するようになります。嚥下障害だからこそ口腔ケアを徹底する必要があります。
口腔ケアは
①口腔衛生管理、②口腔機能の維持向上の2つの柱から成り立っており、嚥下障害が原因となる肺炎を予防し、食事を美味しく、楽しく、安全な食生活の営みを支援することが目的です。そしてこれを行うことにより患者のQOLの向上を目指します。