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TCHとは?
こんにちは。世田谷区駒沢の歯医者、駒沢歯科・矯正歯科クリニックです。今日は上下歯列接触癖(TCH)について説明します。
上下歯列接触癖(TCH)とは上下の歯を接触させる癖のことです。上の歯と下の歯が接触する時間は案外短く、食事の時間を入れても1日に約20分程度と言われています。それ以外の時間は上下の歯の間に1ミリから3ミリの空隙(安静空隙)があり上下の歯は接触しておりません。しかし上下の歯を無意識に接触させてしまう上下歯列接触癖(TCH)と言う癖を持つ場合があります。TCHで上下の歯の接触時間が長くなればなるほど顎の筋肉や顎の関節に負担がかかってしまいTCHよりも力が入る噛み締めになると負担はさらに重くなります。
軽い噛み締めは9割以上の人に見られ特別異常なことではありません。しかし、患者様によっては無意識のうちに強くかみしめている方がおり、その場合は顎周りの筋肉や関節の負担が非常に大きくなる上に歯にもとても悪い影響が出てきてしまいます。その1つが歯周病になります。日中のかみしめがある患者さんを対象に行った大学病院の研究によると重度の歯周病の人は軽症の歯周病の人に比べ強く噛み締めてる時間が長いと言うデータがありました。この研究は日中のかみしめが歯周病の進行の1つのリスクになることを世界で初めて明らかにした画期的なものでした。
またTCHにより虫歯へのなりやすさ、また歯の根っこの病気にも関わると言うデータも報告されています。
また顎関節への負担も大きく顎関節症の1つの要因であると今では考えられています。
日々、口腔内のケアをきちんと行っているのに歯周病が重症化していく患者さんは日常の診療でも経験します。今後はかみしめに対する治療も積極的に行いまた患者様に伝え指導していく必要があると考えます。
かみしめが起こりやすいのは特にパソコンの作業中、スマホの操作中、テレビ視聴中、料理中など集中している時なので、時々上下の歯が接触しているかどうか意識を向け接触しているなぁと思ったら意識的にかみしめるのをやめ深呼吸をしましょう。パソコンや壁などに(噛み締めに注意)などの張り紙を貼っておくのも良い方法です。かみしめに気づいたら上下の歯を離すことを繰り返すリマインダーと言う方法も有効です。リマインダーはもともとTCHの改善法ですが噛み締めに応用できます。夜間の歯ぎしりがある場合はマウスピースを作るなどして対応していきます。
スポーツ中のかみしめに関してはスポーツマウスピースで対応していきます。
またストレスがあると噛む筋肉が緊張して強いかみしめが起こりやすいと言われているのでストレス解消を心がけることも重要になってきます。
このように現在では夜間の歯ぎしり、噛み締めのほかに日中の無意識の上下の歯の接触もお口の中に影響を及ぼす1つの要因として考えられています。